第193話 手になるかどうかは別? 

テイ 「 さぁ、帰ってメシ食おうぜ。 渚が首を長くして待ってるはずだぜ。 」

聖子 「 は~い♪ 帰りましょう♪ 」

愛 「 もう、聖子ちゃんったら。 ほんと、ごちそうさま。 」

テイ 「 じゃぁな。 」

聖子 「 失礼いたします。 ありがとうございました。 」

愛 「 は~い。 またね~。 」





佐脇 「 う~ん・・・あの局面からああも簡単に・・・。 」

星山 「 軽くいなされたかんじですね。 」

佐脇 「 とてもアマが打つような手ではないですよ。 」

星山 「 そうですか? 佐脇さんがおっしゃるのならひょっとして。 」

佐脇 「 愛さん、どうなんですか? 」

愛 「 え? 何がですか? 」

佐脇 「 先ほどの方ですよ。 」

愛 「 聖子ちゃん? 」

佐脇 「 女流などの大会にも出てないそうですから、院生さんですか? 」

星山 「 院生さんではないのでは? 確か渚君より年上だったはずですから。 」

愛 「 う~ん。 院生さんだったのかな? 」

佐脇 「 しかし、どこかで見たような気もするんですよね。 」

星山 「 全国大会ですか? 」

佐脇 「 はっきりしないんですが、どこかで会っているような気がしてならない。 」

星山 「 私は記憶にない方ですね。 
    あの眼鏡は特徴ありますから会ったことがあればすぐ思いだすはずです。 」

愛 「 あははは。 ですよね。 」

佐脇 「 確かに。 忘れようにも忘れられませんね。 」





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星山 「 いずれにしても囲碁教室が今から待ち遠しいですね。 」

佐脇 「 できれば予選前にもう一度打って頂きたいですね。 」

星山 「 予選前にですか? 」

佐脇 「 えぇ。 予選前に。 」

星山 「 それは困りますね。 」

佐脇 「 困る? 」

星山 「 これ以上佐脇さんに強くなられたら、かすかな望みがなくなります。 」

佐脇 「 いやいや、そんなことはないですよ。 」

星山 「 ねぇ、愛さん。 そう思いませんか? 」

愛 「 そうですね。 でも、聖子ちゃんはもう打たない気がします。 」

佐脇 「 打たない? あれほど打てるのにですか? 」

愛 「 そんな気がするだけなんですけど・・・。 」

星山 「 テイさんといい、愛さんといい、どこかいつもと違いますね。 」

佐脇 「 確かに。 いつもと違いますね。 」

愛 「 そうですか? そんなことないですけど? 」

星山 「 あれほどの方がいるのに今まで隠していましたよね? 」

佐脇 「 そう言えばそうですね。 」

愛 「 隠していたわけではないんだけど。 」

星山 「 う~ん。わかりました。 
    何か事情があるようなので、これ以上は詮索しないでおきましょう。 」

佐脇 「 ですね。 愛さんの様子を見る限り間違いなく何かありそうなので。 」

愛 「 そうして頂けると助かります。 私、これ以上痩せるといけないので。 」

星山 「 え? 」

佐脇 「 痩せるって。 」

星山 「 あははは。 それそれ。 それがいつもの愛さんです。 」

佐脇 「 うんうん。 彼女の話はここまでにしてっと。
    もう一番、星山さんいきますか? 」

星山 「 え? もう一番ですか? 」

佐脇 「 先ほどの一番、勝ったのに勝った気がまったくしないですよ。 」

星山 「 確かに。 あの子のおかげで私も負けたのに負けた気がしません。
    あははは。 」

佐脇 「 でしょ? なので、もう一番。 」

星山 「 わかりました。 では、もう一番。 」

愛 「 お二人とも、ガンバ~。 」





≪ シャリーン♪ シャリーン♪ ≫



テイ 「 けえったぜ。 」

聖子 「 ただいま戻りました♪ 」

亜美 「 お帰り~。 」

渚 「 おかえりなさい。 」

亜美 「 聖子ちゃん、お守役ご苦労様です。 」

聖子 「 いえいえ。 楽しい時間でした。 」

テイ 「 ボコボコにしたんだ。 気持ちいいだろうよ。 」

渚 「 え? ボコボコですか? 」

亜美 「 ん? 」

聖子 「 そんなぁ、ボコボコなんて。 」

テイ 「 亜美、佐脇さん知ってるだろ? 」

亜美 「 えーっと、確かよく県代表になってる人だったかな? 」

テイ 「 おうよ。 その人をひとひねりだ。 」

渚 「 わお。 そんなことがあったんですか! 」

テイ 「 おうよ。 亜美、ビール頼むぜ。 」

亜美 「 はいはい。 ごはんもすぐ用意するわね。 」

渚 「 もちろん ゴバン もですね。 」

テイ 「 おうよ。 アタリ。 」

渚 「 あたり前田のクラッカー。 」

亜美 「 あはは。 」

聖子 「 違うんですよ、渚さん。 聞いてくださいよぉ。 」

渚 「 あ、はいはい。 聞いてますよ。 」

テイ 「 あれはボコボコだぜ。 相当ショック受けてるぜ。 」

聖子 「 あのですね。 佐脇さんと星山さんの対局が終わって。 」

渚 「 はいはい。 」

聖子 「 そうしたら、そこから打て、と言われて。 」

渚 「 はい? 」 

亜美 「 どういうこと? 」

聖子 「 星山さんが投了された局面から打てと・・・。 」

渚 「 えぇ? 投了の局面からですか? 」

亜美 「 もうお父さんったら、無理難題を。 かわいそうに。 」

テイ 「 かわいそうなのは佐脇さんだぜ。 攻めても攻めても軽くシノギやがる。 」

亜美 「 あらら。 」

渚 「 で? 最後はどうなったんですか? 」

テイ 「 言うまでもねぇや。 最後は逆転だぜ。 」

渚 「 おー! 」

聖子 「 様子見をした石がうまく働いただけなんですよ。 」

テイ 「 星山さんの解説じゃぁ、ヨンでなきゃ打てないって言ってたぜ。 」

渚 「 ですよね。 投了の局面からなんですから。 」

聖子 「 確かにそれはそうなんですが・・・。 」

テイ 「 しかし、ああいう手を見るとな。 」

聖子 「 はい? 」

テイ 「 ああいう手を見ると、つくづく強いと思うぜ。 」

渚 「 いいなぁ。 僕も観戦したかったな。 」

聖子 「 手になるかどうかは別にして、普段から打つようにすれば・・・。 」

テイ 「 打つようにすればって、そんなに簡単に打てるのかよ。 」

渚 「 僕も打てますか? 」

聖子 「 はい。 打てると思います。 」

テイ 「 本当かよ。 なら、渚には教えるんじゃねぇぞ。 」

渚 「 なんという事を。 僕だって教えてほしいですよ。 」

聖子 「 例えば、こんな局面で。 」


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